と言うほどのものでなく

「千葉(昼)」「府中(昼夜)」「横浜(昼)」と巡業を観てまいりました。昼に偏っていますが、それは仕方ないってことで(笑)。印象に残ったのは前にも書いたように「十種香の段」の空気感が違ったこと。それと、八重垣姫ががんばりすぎていなくて周りとの調和感が増したこと、ですね。去年の大阪の千秋楽の頃はかなり勢いがあって華やかでしたがちょっと”イケイケ娘”っぽかったんですよねえ。それが清十郎さんの人形っぽくなくてちょっと「うーん」って思ったりもしたんです。でも今回の巡業はすごく「清十郎さんの人形」でした。
「平太郎住家〜木遣り」は100%泣く段なので(『母と息子』っていうのは実感ありすぎで)覚悟していましたが、3日とも「がるる〜」って(笑)なりました。勘寿さんが昼夜とも婆なんですけど、名手だな〜と改めて実感しました。
夜の部は1回しか観ていませんので府中公演限定の感想になります。「尼が崎」は大好きなので喰いつくようにして観ていましたが、一番印象的だったのは清介さんの三味線。圧倒的な技量と気合で空気を支配していました。「テンペスト」のときに何棹もの三味線の後を1棹で受け持って見事だったあの音色です。鳥肌もんでした。あと、六方はやっぱり玉女さんだなあ、って思いました。
簑二郎さんって品のいい役が似合うので(と勝手に思ってます)清姫はどうなんだろう?って思っていましたが、人形をあくまでもきれいに遣っていて、私は清姫って嫌いなんですけど「これはいいかも」と思いました。表にぎらぎらしたものはあまり出さず、細やかな振りで清姫の思いを伝える、というか・・・手の動きがね、すっごいんですよ。だらだら動いてないの。
やっぱり人形っていいなあ・・・