ざっと観てたんだな

眠くもならずにずっと観て楽しめたのは、いつものように細かく観ていなかったからかもしれないなー、と思ってます。まあね「あの人形は足がフラフラしてるなー」とか「この左はうまいなー誰だ?」とか逆に「こらこら、主遣いに合っとらんぞ」程度のことはちらちら思いましたけど、それより話が好きだから楽しんじゃいましたね。
2点、個人的にイヤだったこと。
ひとつめは、塩谷判官切腹で由良さんが出てきた時にバカみたく大きな拍手が起きたこと。そこまで和生さんの判官が素晴らしくよくて静謐と緊張に満ちた空気が舞台を覆っていたのに吹っ飛びました。ご贔屓が出てきたら拍手するのはかまいません、私も簑助さんが出てきたら拍手しますから。でも、あの場面ですよ、少しは遠慮がちに叩いたら如何かな。ご贔屓に聞かせたくて叩いてるとしか思えなかったです。だって、休憩の後にぞろぞろ帰っちゃったもの。
ふたつめは山科閑居の後に「大当たり!」という掛け声があったこと。「藤蔵!」という声をかけたのと同じ方だと思うけど、そもそも三味線さんだけにかけるっておかしいんじゃないでしょうか。野球ならバッテリーですよ、どちらが欠けても成り立たない相棒です。しかも申し訳ないですが、後半に関しては大当たりには程遠かったと思います。太夫と三味線が張り合ってるみたいでした。あんなオトナな段なのに。
まあ、最近ちゃんと通ってない私が何を言うかと言われたら返す言葉もないですが。


さて。全体的に2部の方が面白かったかも、です。一力での簑助さんのおかると勘十郎さんの平右衛門、サイコーでした。今、人形さんは同期のお三方が若い人達をぐいぐい引っ張ってる成果が出てるのだと思います。特に和生さんは文雀さんのいなくなられた穴を全力で埋めようとなさっている気迫が伝わってきます。私は山科閑居での本蔵が死ぬほど好きなんですが、平右衛門とは全く違う重みを出している勘十郎さんは流石。玉男さんは、まだまだ若いのだからそんなに収まらなくていいのにねー、と思ってしまったり。由良さんの内面の燃えたぎる思いがイマイチ伝わってきませんでした。


太夫さんもお若い人がとても頑張っていて先が楽しみです。三味線さんとの組み合わせで随分違ってくると思いますので、それも楽しみではあります。もう一回聴く機会があればよかったな…