八陣守護城

今回は四段目の「浪花入江の段」から始まります。イヤホンガイドを借りるとそれまでの経緯がわかりますので、借りてみるのもテかと思います。設定として知っておくとわかりやすいことをいくつか箇条書きしておきます。

  • 正清と一緒にでっかい船に乗っているのは、正清の息子”主計之介”の許婚”雛絹”です。主計之介は北条の家臣です。
  • 雛絹の父親は北条の家臣”森三左衛門”。時政の命によって正清に毒酒を飲ませるために、自らも同じ酒を飲んで既に果てていますが、2人はそれを知りません。
  • 正清を油断させるために自分も毒酒を飲んだ三左衛門ですが、これも時政が無理矢理、という感じで気の毒です。
  • 帰って行った正清の死を確認したいと思う時政は次々と家臣を使ってを正清の船を探らせるわけです。
  • 三左衛門はすぐに死に至ったほどの毒の酒を飲んだというのに生きているというのは普通はありえませんよね?たぶん(たぶんです^^;)正清(清正公)が神様のような存在として信仰されている=普通の人とは違う、ということではないかと思います。

さて、今回上演されている部分も簡単に書いておきます。話自体は簡単なのであらすじを書いてしまうと「なんだ」って思われてしまいそうですが、この作品は「人形を観て」なんぼですので、是非、ご自分の目で観ていただきたいと思います。

  • 「浪花入江の段」:帰りゆく船に乗った正清が雛絹に琴を弾かせたりしていると、2回にわたって時政の使者がきて「はて面妖な」などと言って去っていきます。三左衛門は死んでしまったというのに、どうして生きているのだろう?と不思議なわけですが、三左衛門が死んでしまったなどとへ言えませんからもごもごと歯切れが悪いです。正清はことを察し、自らも懐紙に血を吐くのでありました。しかし、そんな風は微塵も見せずに忍を斬って海へ投げ捨て、舳先に立って豪快に笑います。
  • 「主計之介早討の段」:最初に出てくる腰元の会話から、本城に帰った正清はひと間にこもって雛絹以外の者は近づけないまま百日が過ぎようとしているのがわかります。そこへ鞠川玄蕃と大内義弘が来て、妻の葉末に正清との面会を迫りますが、夫は誰とも会わずに百日の心願のために籠っていると断ります。義弘、そして後から現れた船頭(実は児島元兵衛)に「正清」の安否を尋ねられて不審がる葉末のもとに、主計之介も転がり込み、毒酒で三左衛門が死んだことなどを語り「父の様子を聞きたいばかり」と言うのでした。そこで葉末は初めて夫の身に何か起きていることを悟り、主計之介に雛絹から様子を聞きだすように勧めます。
  • 「正清本城の段」:ここは全部書いてしまうと面白くないので、ホントに簡単に。正清は百日の間、ろくにものも食べずに亥の刻になると高楼に上って祈念しているのですが、それがかなう、というのが縦糸とすれば、主計之介と雛絹の悲恋と母二人の嘆きが横糸ですかね。面白い展開・しかけなどありますしどの人形もいいです。お見逃しなきよう。


2部(「双蝶々曲輪日記」とこの「八陣守護城」)は今は夜の部で4時開演ですが、13日のお休みをはさんで14日からは11時開演の昼の部となります。幕見などとは仰らず、是非、良席で人形たちの活躍をご覧下さい。「らくらく文楽NEO」さんで紹介されていますが、昼夜同時にお求めになると11,600円が9,800円のセット価格になる、というのがあるそうです。大阪ってええなあ。。。