日吉丸稚桜・駒木山城中の段

未見の作品は視聴室で予習するようにしていますが、これは東京での上演がないようで観ることがかないません。自分の言葉で書けませんので、前に上演されたときの筋書本をほぼ丸写しで書こうと思います。・・・茂助って悩む役なんですね〜、ご贔屓が得意そうな役だな〜。
☆「日吉丸稚桜」とは☆
日吉丸(木下藤吉)の出生から桶狭間合戦までを描いた全五段の時代もので、「駒木山城中の段」は三段目。
この段は、鍛冶屋の倅竹松(のちの加藤正清)が家来に取り立てられるまでを描く物語で、茂助の妻お政と鍛冶屋五郎助を中心に物語が展開します。
ちなみに昭和64年の初春公演にて、ご贔屓は倅竹松を遣われています。
☆あらすじ☆
斎藤明舜の娘である萬代姫は木下藤吉の監視のもと、駒木山城に幽閉されています。そこへ藤吉の使いとして訪ねてきた堀尾茂助。茂助は姫を助けようと忍びこんだ鍛冶屋五郎助を捕えて藤吉の元へ引っ立てて行くのですが、茂助にとって五郎助は妻お政の父、つまりは舅にあたります。
藤吉の前でも臆せず藤吉の過去を暴く五郎助。その話の中で、叔父で大恩人でもある茶碗屋源左衛門を斬ったのは舅五郎助だと知った茂助は一人悩むのでした。そこへ五郎助の倅竹松がやってきて、竹松を抱いた五郎助と藤吉は奥へ入っていきます。
一人になった茂助のところへお政がやってきますが、茂助は恩人の仇の娘であるお政に離縁を迫り、お政は悲嘆にくれて自害をはかります。茂助は驚き、お政の母も驚いて駆け寄ってきますが、そこへ五郎助が登場。
五郎助は茂助に償うために斎藤家の稲田山城への間道を教え、五郎助が斎藤家の家臣であることを知っている藤吉はその心意気に改めて名乗りをあげますが、そのとき既に五郎助は腹を切っていました。覚悟の切腹の上に「娘お政は勘当したので自分とは他人だから離縁してくれるな」という五郎助に、茂助は未来永々夫婦であると約束し、お政は喜びます。
ところがそのとき五郎助は瀕死の娘の首をうち、驚く人々を尻目に藤吉へ「これは萬代姫の首」と言って差出します。忠義のため腹を切り愛する娘の命を差し出す心にうたれた藤吉は倅の竹松を加藤虎之助正清と名乗らせて家臣として長く家名を残そうと言い、その竹松は皆の前で間者を討って手柄を立て、五郎助はわが子の姿を見ながら息絶えるのでした。