中将姫雪責の段

東京新聞の記事を紹介しておきます。この段は嶋さんでなくては、という段だそうなのですが、とてもたいへんな語りなので今回が最後になるでしょうと書いてあります。これは心して聴いておかねばなりませんね。
☆中将姫☆
中将姫は右大臣豊成卿の娘で、継母である岩根御前に”観音像紛失”の罪をきせられます。この岩根御前は長屋王の乳母で長屋王を帝位につけようと謀り事をしているのですが、それを中将姫に知られたために罪をきせた上に殺してしまおうとします。表だって殺すわけにもいかないと、雪の中でひどい責苦にあわせて死に至らしめようとする岩根御前。潔白を訴えて責苦に耐える中将姫。姫を救おうと駆け寄る桐の谷。姫は死んでしまうのでしょうか。。。
能の「当麻」はお寺の宣伝能だという話も聞いたことがありますが、当麻寺の中将姫伝説と関係あるんでしょうか?詳しい方がいらしたら是非解説をお願いいたします。
☆あらすじ☆
まず最初は2人の侍女、桐の谷と浮舟の言い争いの場面から始まります。2人が争っている場へ岩根御前が現われ、中将姫に味方する桐の谷を追い払います。侍女たちが去ったあと、岩根御前と大弐広嗣はどうにかして中将姫を亡きものにしようと思案し、雪の中で責苦にあわせて凍死させてしまおうと企むのでした。
場面は変わり、素足の姫は雪積もる庭先へ2人の奴に引き立てられてやってきます。岩根御前は座敷から観音像の紛失について姫を詮議します。我が身は潔白であるけれど、事実を知りながら継母を庇って何も言えない姫。着物を剥いで割竹で打てと言われて奴は仕方なく姫を責めるのでした。←「若い可愛い娘」が責苦にあう、というのは文楽では定番なんでしょうか。どうもこのシチュエーションは個人的にダメです。
様子を見に来た桐の谷は姫の苦しむさまを見ながら中に入ることもできず、自分の着ていたうちかけを投げいれますが、それに怒った岩根御前はとうとう自ら庭に下りて姫を打ちすえ始めました。耐えきれずに庭に駆け入った桐の谷は割竹を奪って振りかかろうとしますが浮舟に止められ、2人がもみ合ううちに中将姫は浮舟の割竹に打たれて死んでしまいます。慌ててその場を逃げだす岩根御前と広嗣。
打ちかかろうとする桐の谷。押しとどめる浮舟。実はこれは岩根御前を騙して姫を助け出すために2人でしめし合わせたお芝居だったのです。浮舟は2人でもみあっている時に「死んだふりをするように」姫に耳打ちしていたのです。2人は姫をひばり山へ隠すことにして姫を連れだそうとします。そこへ父の豊成が出てきて心中を語り、姫を見送るのでした。←おいオヤジ!娘がこんな目にあってるのに最後にそっと出てくるって何だよ!って思うのは私だけなんでしょうか。