人形が大好きなんだね

私はきれいな音楽を聴くと脳裏に「色とりどりの布が風にはためいて揺れる映像」が浮かんだり「音楽に合わせて踊るダンサー」が浮かんだりする。五感がそれぞれに確立していなくて交錯しているのか、映像で匂いを感じたり痛みを感じたりしてしまう部分もあってなんだか未分化。「出来損ないちゃうか」と思うことも多い。
昨日のコンサートはオケだけの演奏もあって、その中のシベリウスの「悲しきワルツ」を聴いていたとき、なんと脳裏に浮かんだのは舞う人形。いつもならダンサーが踊るであろうところに人形が浮かんでしまったのである。はっとなって「私の頭はもうここまで侵食されているのか」と思うと同時に「清之助さんのあの滑らかな動きのお人形なら洋楽でも十分に生きる」と感じた。
切ない音楽に乗って紅い着物の人形がくるくると悲しげに舞っていた。なにかを求めるように手を差し伸べながら。なんとも美しい一差の舞であった。私は本当に人形が好きなのね。