彦山権現誓助剣

一部を観てきました。以前録画を観て以来(ここにその時の感想がありますhttp://d.hatena.ne.jp/DancingDoll/20080428#1209392202)、是非とも生で観たいと思っていた演目で、大阪で上演されたときに観れなかったので待ちに待っていました。いや、ホントに面白いです。ひねってひねって裏がありありという作品じゃありませんが、素直に面白い。ひとりひとりのキャラが立ってるんですよね。人形好きならぜひ観てほしいです。
出ずっぱりの六助@玉女さんのテンションが最後まで落ちないのが何より大きいです。武骨でちょっとマザコンで情に篤くて滅法強い、そんな六助を大きく遣っておられます。和生さんのお園はやや品がよくて、もう少し「お転婆娘が大きくなった」雰囲気があってもいいかなあ、と思いました。と言っても豹変して急に女らしくなるところはさすがに上手いです。私はこの二人「六助&お園」は文楽のベストカップルだと思っています。
床も、しょっぱなの希さんの第一声がスコンと通って気持ちよく、物語に入り込みやすかったのをはじめ、よくまとまっていました。朝の公演ということがあるのか左右の後方がガラ空きだったのが残念でした。よく出る有名な作品でないとお客さんが来ない、というのがみどりが増えている原因だと思います。普段あまり出ないものを観て、自分の目で耳で「面白い」と思えるような『見巧者』でありたいものです。


残念なのは、ここだけの上演だとなんとなく全体的にチャリっぽい感じになってしまうこと。敵である弾正が白首なのもありますし、一味斎が討たれるところやお園・お菊の怒り哀しみががわかりにくいんじゃないでしょうか。