地方巡業@府中

横浜も行くつもりでしたが行けなくなりましたので、これ1回です。府中はいつも「出来がいいなあ」と思いますが、今回も素晴らしかったと思います。東京という土地柄で本公演を観ている人も多い、という緊張感なのかとも思いますが、どこに行ってもぜひぜひ、最高のものを見せてください。一輔さん、笑いの取り方に磨きがかかってきましたね。なんかどっしりしてきたし(私に言われたくないわな)。勘緑さんはとてもスマートになられたような気がします。若い頃の録画で「この二枚目は誰なんだ」と思った頃に近付くか?!


まず初めに。昨日の続きになりますが。
どうして「曽根崎心中」が人気がある演目なのか、正直言ってわかりませんでした。でも今朝突然に気がついたんですね、『自分は玉男さんの人形を観てない』ってことに。失礼な物言いになるのを覚悟の上で書きますが、自分が観始めてからこんなに大人の徳兵衛は観たことなかったんです。ガキでお初に振り回されて九平次に対しても「裏切りやがって、コンチクショー」という感情が先立つ短絡な若者風の徳兵衛しか観てない。でも、簑助さんの徳さまは全然違った。お初が惚れて当然の男でした。
逆に言えば、簑助さんのお初は徳兵衛がどういう男であれ「あんたと心中するから」という強い強いお初で、九平次に対しての「お前も殺すが合点か」は剃刀のように感じられますので、要するに人形遣いの「格」が上だと存在も大きくなっちゃうのかな?という気がします。
もしかしたら簑助さんはお初を遣われながら、また弟子たちの舞台を観ながら「この徳兵衛はどこか違う」「玉男兄さんのと違う」って感じておられたんじゃないのかなあ、って思ってしまいました。「これではお初は死なれへん」と。今回のものを初めに観ていたらきっと「曽根崎」人気に首をかしげなかったろうなあ、と思います。

  • 仮名手本忠臣蔵「二つ玉」「身売り」「勘平腹切」
    • 自分、床真下っていう感じの席でした。子供の頃から右耳の聴力に難ありの人間で、右から音が聞こえてくる文楽は非常に自分に都合のいい音響になります。右耳に有利な状態で普通の人のステレオになる感じ、なので。「勘平腹切」がとてもよかったために前の2つの記憶がやや霞んじゃってますが、全段いい出来だったと思います。千歳さんは夜の方が気合い入ってたかも?


あ〜また邪魔入った、後ほど・・・