中将姫雪責の段

中将姫というと一夜にして曼荼羅を織り上げた徳の高い人というイメージなので(文楽での話とは別人みたいですが)、文雀さんの人形は実にピッタリだと思います。肌着に素足でも高貴。
中将姫と岩根御前は確か以前、本公演で観たときと同じ配役だと思いますが、そのときの浮舟が亡くなられた玉英さんでした。玉英さんの浮舟はさばさばとしてオトコマエな雰囲気でしたが、清三郎さんの浮舟は目から鼻へ抜けるような賢げな雰囲気で「やっぱり遣う人で全然印象が違う」と思いました。対する桐の谷は、前に観たときは清十郎さんで今回は勘彌さん。タイプ似てますよね。
奴は2人とも首の角度や手の動きがとても丁寧、気持ちが伝わってきました。豊成卿も静かな中に心情溢れる動きで嶋さんの語りにぴったり沿っていたと思います。残念だったのは、ちょうどここで、すぐ後ろに具合が悪くなられた方がいたようで騒がしかったことです。冷房で冷えてしまったようでした。


床も、大夫さんは確か同じで千歳さんと嶋さんだったと思います。千歳さんはちょっとお疲れ気味だったのでしょうか、岩根御前のイヤらしさが今ひとつだったような。嶋さんは「この暑い内子でそれを4回続けたらお身体に障るのでは」と心配になるような渾身の語り。夫が「嶋さんが相変わらず元気に上下していた」と喜んでいました。何を見ているんだか(笑)。ま、夫婦で「嶋さんだ〜嶋さんだ〜」とはしゃいでいたんですが。