「翁」と「寿式三番叟」

コピーしてきた「寿式三番叟」の床本と、日本古典文学全集・謡曲集の「翁」の詞章を読み比べてみました。「翁」の詞章は一部を除きほとんどが登場人物の「言葉」として入っていて、それを包むような浄瑠璃に仕上がっています。流れとしてとてもきれいです。

  • 翁の謡い出し「とうとうたらりたらりら、たらりあがりららりとう〜」と千歳の謡い出し「鳴るは滝の水〜」の間の詞章(翁と地謡の)がないです。
  • 千歳の舞のあとの翁の謡い出し「総角(あげまき)やどんどうや〜」から「〜そやいづくの翁とうとう。そよや」までがなくて、その間の「万代の池の亀は〜今日の御祈祷なり」の部分が入れ込んであります。

「寿式三番叟」は正面に大夫さんと三味線さんがズラリと並んでいて、録画でさえも賑々しいので、ナマの舞台を観られる(聴ける)のが楽しみでなりません。


ついでにプログラムの中に澁澤龍彦さんの『人形雑感』というエッセイがあったのでそのページもコピーしてきました。”人形”っていうのは呪術の道具であった、ということなどいろいろ書いてあって面白いです。「へええ!」って思ったのは”木偶〜デク”の語源が”手傀儡”という言葉だということ。文楽の”人形の遣い手が手で握って操作する”というのは”手傀儡”の方法である、その「手」というのが人形芝居にとどまらず、日本の文化現象すべてにつまがっているのではないか、と澁澤さんは書いておられます。こういう話にもそそられますね〜。