寛治を聴く会

人形部応援団なので、こういう会に行く(会があると知る)チャンスはあまりありません。今回は友人に誘ってもらって前から楽しみにしていました。「寿式三番叟」も「吉田屋」も初めてですが、床本を見てしまうと字を追うことに力を使ってしまうので全神経を耳に集中して味わってきました。とーーーーーっても楽しかったです。
それにしても寛治さん、傘寿(今週の土曜・27日がお誕生日だそうです!)というのがウソのようによく手がまわりますね〜。左手の指がぴしぴしと決まってクリアな音が生まれます。鍛練のたまものでありましょうが、神様に選ばれた方だという気もします。ぜひ100才まで現役で!


「寿式三番叟」は能「翁」の詞章と、その「翁」の描写を組み合わせてあります。描写されている「翁」の舞は天照大神が岩戸にこもられて常闇となったときに神々が岩戸の前で舞ったもの、というところから始まっています。「三番叟」は私にとっては非常に(最も?)魅力的なもので、ちゃんと勉強しないと!と思いつつ放置してありましたので「アイタタ」と反省。能でもこういう「神様系」が大好きでして、心から「治まる御代こそ目出たけれ」と思いました。別に右がかってるわけじゃないんですけど(苦笑)。
上演前の解説で普通の公演では語られない部分もあります、というのでそこは気合いを入れて聴きました。私は三味線さんの方に目がいっていましたが、友人の話だと「太夫陣にもピリピリとした緊張感があった」そうです。それがまた素晴らしくリズミカルでありまして「ラップの乗りだったね」と話しつつ帰りました。身体でリズムをとれない(手拍子も足拍子もできない)姿勢の太夫さんはたいへんな苦労をなさって語られたと思います。

  • [浄瑠璃]竹本津駒大夫・豊竹咲甫大夫・豊竹睦大夫・豊竹芳穂大夫
  • [三味線]鶴澤寛治・鶴澤清志郎・鶴澤清丈'・鶴澤寛太郎・鶴澤清公
  • [お囃子](笛・小鼓3・大鼓・太鼓)望月太明蔵社中の皆さん


「廓文章・吉田屋の段」って、実は全然知りませんでした。上演前に簡単な解説がありましたので床本は読まずに耳を頼りに・・・前後の話がわからないのに、夕霧のくどきがあんまり可哀想で涙がポロポロ。瞼に浮かぶ夕霧は簑助さんが遣っていました(笑)。初春公演もまただだ泣きさせられるような気がします。
万才傾城云々のときにツレ弾きが入って調子が変わります。ここがよくわかりません。人形はどんな感じなんでしょう?