5月東京公演

昼の部は複数回観ていますので全部まとめて、夜の部は楽に2回目を観ますので、とりあえず印象だけ。夜は最初の観劇の日に1人で観たのですが、昼は昨日やっと1人観劇ができたのです。連れがいて話に興じるのも好きなんですが、不器用でどうしても気が散ってしまうので文章にするとなると難しいです。

  • 鎌倉三代記[入墨の段]:この段、黒衣&頭巾です。実は今日、初めて「誰が何を遣っているか」確認しました(なんて失敬なヤツだろう)。何度も書いているのですが、出遣いは好きじゃないんです。っていうか誰が遣っていらっしゃるかというのにあんまり興味がないのです。それでも確認してちょっと安心したのは「古郡新左衛門の首の動きがええなあ(マジいいです)」「土肥弥五郎はたたずまいはきれいなんだけど足が変だなあ」「あれ?今日は富田六郎が違う人に見える(役替わりだったんですね〜、個人的には前半の六郎の方が好きです)」っていうのが全部ストンと腑に落ちたってことですね。小姓、前半は微動だにしなくてきれいでしたが、昨日はちょっと不安定に見えました。楽までの健闘を祈ります。時政なんですが・・・足、もうちょっと頑張ってほしいかも、です。←「偉そうに」って反感かいそう^^;
  • [局使者〜高綱物語]:千歳さんのがんばりに「ブラ〜ボ」です。こんなに短い間に2つの段を語るのはホントに大変でしょうと思います。最初の日は「入墨」で力を使いすぎたかな、という印象。2回目はちょっとお声が枯れ気味で「少し疲れてきたかな」と。でも昨日は「入墨」で適度にセーブされたようで「三浦之助母別れの段」の方に重みがきてて、とってもよかったです。千歳さんと清二郎さんって合いますね。でもでも綱さん、一日も早く帰ってきて!・・・人形はですね、各段とも「この人がこの場の主役」という人がぐーっと出てくる感じでうまいな〜と思いました。昨日しみじみ思ったのは「時姫、そんなに三浦之助が好きか〜?」「三浦之助、少しでも時姫のことが好きか〜?」ということでした。私は「子でない」という母と藤三のことを語るおくるに毎回泣いております。
  • 増補大江山:周りの人の反応は概ね良好です。1回目も2回目も「面白〜い」「すご〜い」という声が聞こえてきましたし、昨日は「これはわかりやすくていいわね〜」という声が。清之助さんは決して腕力のある方ではないと思いますが、奮闘なさってます、はい。不満があるとすれば、腕が斬り落とされた!という瞬間が今ひとつわかりにくい、ということでしょうかね。雲の幕の間から2人一緒に消えないで、綱が少し残ってもう少し見えをきってもいいんじゃないでしょうか。鬼が綱の手を持って飛ぶ、だから綱はその腕を斬り落とす(「羅生門」は城門の上から綱の首に腕をかけて宙づりにして、綱はその腕を斬り落とします)、っていうのが今イチわかんないですよね。腕を斬り落とすには理由があるわけで。能好きを文楽に誘うにはいい作品だったかも、と今頃になって思っています。能には鬼とか天狗とかが普通に出てきますので、そういうのが好きな人って多いはずなんですよね。
  • 心中宵更新:お千代@簑助さん&半兵衛@勘十郎さん、って大阪でもこの組み合わせでした。最高の組み合わせだと思いますが、固定しちゃうのはイヤだなあ、と思います。この作品は心中もので唯一好きな演目なので、色々な組み合わせて観てみたいです。他の人はイヤですが、半兵衛となら一緒に死にます(笑)。床も贅沢に揃っている上に人形さんも人間国宝がご出演、これがやっぱり今公演のイチ推しかな〜って思います。
  • 狐と笛吹き:もう書きたいことは書きましたが(苦笑)。この作品は「観る」に重点を置いている人にはなんら問題ないです。というか、裏方さんもがんばっていらっしゃって(国立劇場のあの奥行きのない舞台でここまでやるのは大変なことかと)「絵」的にはきれいです。「秋の落葉」の清治さん&清志郎さん師弟の三味線&お琴も見事というしかありません。清介さんがシンの三味線陣もとてもいいです。「人形部応援団」「床は三味線7割」の私はそれで満足すべきなのでしょう。でもやっぱり、浄瑠璃を聴きにいらしている方には厳しいものがあるんじゃないでしょうかねえ。。。