11月公演・2部

昼の方は13日の日記に書きました。
長くなったので夜は日を変えて書きます。

  • 『源平布引滝』音羽山は予想通りやっぱりちょっと退屈でした。検校から出てくるのならスパっと話がわかると思うのですが、行綱を紹介するためのような最初の部分が「は?」と思います。私は予習してあったので「ふんふん」と思えましたけど、ぶっつけで見た人は「誰やねん、この人」って思っちゃう気がします。派手な動きもしないので浄瑠璃聞いてないとわけわかりません。検校が無駄に動かなくて結構いい感じだな〜、誰かな〜と思って(ここ、出遣いじゃないので)あとで筋書本見たら勘弥さんでした。
  • メインの「松波琵琶」は大好きな綱さん。仕丁たちの酒盛りは太夫さんのワザ、琵琶弾きのところは三味線さんの腕の見せ所、琵琶を弾く行綱以外はどちらかと言えば床中心の段だと思いますが、全編通して床を生かしながらそれぞれの人形の持ち味も十分に出たレベルの高い舞台になっていたと思います。今回も一輔さんはいいですよ〜。無駄がなく不足もなく。彼の堂々とした雰囲気、とても好きです。加えて足さんも吊るされたときの動きに隙がなくて感心しました。毎日毎日、あの動きを気を抜かずにつとめるのは大変だと思いますが、がんばってください!
  • 紅葉山は賑やかで楽しいです。よく聴いていると行綱がカッコ悪いんですけど・・・遠矢にかけるとは卑怯!って言ったら実は先に自分が射た矢だったり、囲まれて逃げようがないのを「逃がしてやろう」と言われて「オレ一人でおまえたちなんか軽いもんだが赦してやろう」とどう考えても負け犬の遠吠えを言ったり・・・でもまあ、どっしりとカッコいい方がご贔屓なので満足っちゃ満足だったりもします(笑)。ご贔屓は検非違使より源太が似合うと思いますが。
  • 曽根崎心中』はナマでも観たことがありますし、玉男さんの徳兵衛を観たくて録画でも何度か観ました。ついでにロック曽根崎心中のDVDも持っていたりします(笑)。心中ものが苦手。「天の網島」や「冥途の飛脚」よりは「曽根崎」はましかな、という程度で、まさかこの自分があんなに泣くとは思いませんでした。大きな原因はおそらく床です。「生玉」の伊達さん、「天満屋」の住さん、これ贅沢でしょう。さらに天神森のメンバーも厚いんです。これで泣けなかったらおかしいかも、と思います。追善公演だからこのメンバーなんだと思います。ぜひお聴き逃しのないよう。
  • 徳兵衛@玉女さんは透通るような純粋な人物に仕上がっています。それを受けてお初まできれいきれいな人形だったらダメだと思うのですが、お初@勘十郎さんが濃い!色気むんむん。可愛らしさはあまりなくて、身を売る生活に疲れて一途な徳兵衛の心根にすべてを賭ける女という感じです。この2人のバランスがいいんだと、私は勝手に思ってます。これから「曽根崎」と言えば玉女&勘十郎と言われるくらいに回数を重ねていってほしい気がしました。
  • 簑助さんが遣われるとみんな可愛さが漂いますね。九平次までなんだか憎めませんでした。