追記

  • 床はまだ全然わからない私ですが今回は全体として2部の方が床がよかったような気がします。人形に集中したい私にとって「気持ちよく人形を観る事ができる」=「語り&三味線がすんなり耳から脳に入ってくる」のが理想的で、さらに感動の波押し寄せる、というのが最高の床なのです。そういう意味で「杉の森」の住さん&錦糸さんと「尼ヶ崎」の十九さん&富助さんは素晴らしかったと思いますし、その間の英さん、津駒さん、嶋さんも磐石の出来で、本当に気持ちよく人形さんたちを観ていることができました。「大徳寺焼香」の大夫陣もバランスよくチームワークよく清丈さんの音に乗り、きっちりと最後を〆ていたと思います。それに比べると1部はちょっと集中を欠きました。人形に集中させてくれたのは「千本通館」と「長左衛門切腹」でしょうか。話がぶつぶつ切れるというのが”集中できない”一番大きな原因ではありますが。
  • 大道具さん、大活躍でしたね。特に襖絵がすごくなかったですか?光秀が辞世を書くときに後ろに龍の襖絵があったと思うのですが、場を盛り上げるのに一役かっていたと思います。時間の移り変わりなども丁寧に表現していて、こういう裏方さんってスポットを浴びないだけに終演のときは「裏方さんもありがとう」と思って一生懸命拍手しました。
  • 大抵、人形の首を観ているんですけど、玉翔さんがあんまり可愛いのでつい人形遣いさんの顔の方を観てしまいます(苦笑)。これは録画で清十郎師匠が出ていると師匠を観てしまう、というのと同じで「やっぱり私は黒衣で遣ってほしい」という思いを新たにいたしました。要するに雑念が多すぎるのですな>ワシ^^;
  • 十次郎に関してはもう書きつくしてしまった気がしますが、ひとつ書き忘れていました。初菊との関係が日を追ってしっくりくるようになったのではないでしょうか。最初の頃は十次郎を表現するのにいっぱいいっぱいで初菊がリードしている感がありましたし、またリードしにくそうにも見えました。初菊だけでなく他の周りの人形さんとまじり合っていないような孤高な雰囲気が濃かったです。でも最後の方に観たら初菊とはいいカップルになっていて十次郎が一回り大きくなった分、初菊も思うように動けているように見えたのです。それ以外の人形さんとも波動をぶつけ合いながら自分も相手も生かすような感じになっていました。正直なところ今まで「清之助さん、引きすぎ」って思うことが多かったのです。先輩方よりも出すぎてはいけないのは当然のことながら、でももっと出てもいいのに、って思うことがありました。それが今回はホントにガチンコ勝負でグっと押し出す強さがあって、でもちゃんと分はわきまえていて「それだ、それ」って私の描いていた舞台のイメージにぴたっと来ました。これが6月の鑑賞教室の「勘平」に生かされると嬉しいなあ、と思っています。