小鍛冶(平成18年2月・国立劇場)

一昨日、「義経千本桜」「紅葉狩」と一緒に視聴室で観てきたのですが、前日の訃報ショックで書く気にならなくて放ってありました。清之助さんが稲荷明神、勘弥さんが宗近です。
「石橋」にしても「紅葉狩」にしても能から作ってるのだと思いますが、この「小鍛冶」は前半がいきなり"能舞台"なのでちょっとびっくりしました。老松が描かれた鏡板や、小さな橋掛かりまであって。あららら、と思って観ていたらまさにワキの出のように宗近が先に出て、次にシテの尉が出てきたじゃないですか!「おおっと〜!」という感じでした。
動きはですね〜・・・能好きの私に言わせたら「ダメ!」って言いたいところですが、能のシテらしい動きをしようと努力されていたことはわかりました。特に足の方はすり足を頑張ってました。それと、後半バックを暗くして人形だけを浮き上がらせる演出は実際の能では出来ませんので面白いなあ、とも思いました。
でも、ひとことだけ言わせていただきます。「石橋」や「紅葉狩」は元は能でも"能"をなぞっていませんでしたので別物として観れましたが、ここまで能をなぞるのであれば、もっとちゃんと"らしく"やってほしかったです。能を観て能の呼吸まで真似てほしかったです。清之助さんの力量ならそれが出来るはずなのでもどかしく思いました。特に相槌のところで首を揺すってはシテの風格が落ちてしまいます。刀を見据えてちょうと打たなくては。首を振るなら振るでそれなりに振ってほしい。
・・・すみません。なるべくいい部分だけを抜いて書きたいと思っているのではありますが、能が絡んでいるのでちょっと辛口になりました。生意気なこと書いてごめんなさい。