其礼成心中

18日に観てきました。正直言ってそれほど期待していなかったので前知識も全然入れないで行き、同行した文楽未経験のお嫁ちゃんに「饅頭屋夫婦の話なんですよね」と言われてしまって慌てました(苦笑)。

何を”期待していなかった”のかと言うと、きっと「名前だけで全然文楽じゃないんだろう」と思っていたからです。でも、ちゃんと文楽でした。色々な見方があるとは思います。演出が変わっていたり、細かい部分で文楽とは異なる部分はありますから。でも、三谷さんは自分の描きたいものを自分の手法で描きつつ「文楽そのもの」に敬意をもって大切にしてくれている気がしたのです。それは大近松への敬意かもしれませんし、芸を伝承してきた人々への敬意かもしれませんが、三谷さんは文楽を傷つけないように現代版にしようと努力してくださったと思います。上から目線ではなかった。

そして何より、おもしろかった!近松が観客に喜んでもらおうと身近な人を題材にとってたくさんの本を書いたように、三谷さんも「文楽を知ってる人も知らない人も楽しいと思える舞台」を目指したのだと思います。ミラーボールとか閑古鳥とか、観て笑える部分は文楽未体験の人へのサービスで一見そういうものに目がいきがちですが、そういうのがなかったとしても、充分に面白い作品でしたもの。人間ってどうしてこうなんだかなあ、って思わせてくれる部分も十分に文楽っぽかったし、過剰な表現も人形だからこそすんなり観れるという部分も文楽っぽかった。私はこれ、文楽だと思います。