『5月公演』2部「ひらかな盛衰記」

「ひらかな盛衰記」を以前視聴室で観たときに書いたもの(過去の日記)をコピペして少し直してみました。私が「ありえない」と思ったのは生活のために傾城に身を売ったはずなのに景季以外に帯をとかず、鎧を質に入れてそのお金で景季の座敷を持っていた〜〜つまり自腹ですね〜〜という部分なんです。それって身売りのお金をだましとったようなもんじゃないですか?ローンで火だるまになって自己破産しそうな人って昔もいたんですね・・・

  • まずは、なぜ段を入れ替えて上演するか:通し上演の場合、だいたい昼夜に分かれます。普通なら大序・2段目&3・4段目という風に分けるのですが、この話は2段目の後半の部分と4段目が登場人物的につながっているために2段目がないと4段目がわかりにくいのです。対して3段目は独立させても話がわかる。今回は4段目重点を置いた上演ですから2段目と組んでいるというわけですね。
  • 「梶原館の段」:腰元の千鳥(後に傾城梅が枝)は奉公先の梶原源太景季と恋仲で、景季の弟である平次景高は千鳥に横恋慕しています。この景高って仮病を使って戦場へ行かないようなダメ男なんですが、見た目はいかついです(首はなんだったかなあ・・・)。千鳥に「オレのものになれ」ってしつこいです。私が録画で観たときは景高は文吾さんでとても大きくお遣いでした。今回は文司さんがどこまで師匠にせまれるかっていうのも見どころのひとつじゃないでしょうか。

  • 「先陣問答」〜「源太勘当」の段:兄弟で宇治川の先陣の「腹帯の伸びて見えさうは」ってところを仕方に語る場面があって面白いです。人形好きは期待していいかと思います。源太景季が高綱との先陣争いに負けて、父親に「故郷に帰れ」と言われて帰ってくるのですが、同時に父親は母親に「景季を討て」という書状を送ってきます。景季は先陣争いに負けたことで父の怒りをかったわけですが、実は”父の命の恩人である高綱に先陣を譲った”のでした。母は勘当することでわが子の命を救おうとします。恋仲の千鳥も一緒に供をさせるという母のはからいで2人は館を出ていきます。
  • 「辻法印の段」は観たことがありません。すみませ〜ん!辻法印は勘緑さんですから・・・きっと面白いはず!(笑)
  • 「神崎揚屋の段」:傾城に身を落とした千鳥は今、梅が枝という名で店に出ていますが、夫である源太景季だけを客にとり、他の客には帯を解きません。梅が枝を身請けしたいという客が来たその日、親の仇を討つために妹・千鳥を探し出したお筆も店に訪ねてきました。親の死を知って嘆き、自分も仇を討ちたいという千鳥でしたがそこへ景季がやってきます。合戦に出て軍功をあげ、勘当をといてもらうから預けた「頼朝公から拝領した鎧」を返してくれという景季ですが、鎧は梅が枝が質に入れていて手元にありません。300両というお金がなければ鎧は取り戻せないと知った景季は腹を切って果てようとします。300両はなんとかするので思いとどまってほしいと頼む梅が枝〜〜(場面転換)〜〜何とかすると言い切ったもののあてなどない梅が枝。苦しみつつくどいていると、奥の座敷の障子が開いてなんと300両のお金が!梅が枝は喜んで鎧を取り戻しにいくのでした。
  • 奥座敷の段」:さて、梅が枝が景季に鎧を渡して親の死の話をしているところへお筆がきて景季の父景時こそ父の仇と告げます。板挟みになって苦悩する梅が枝。景季を討つと言って討ちかかろうとするお筆に障子の隙間から一本の矢が!慌てて駆け寄った梅が枝にもまた矢が当たります。ところがこの矢は矢じりがなく、2人とも怪我をしていません。障子を開けて出てきたのは母延寿でした。夫を狙おうという者を見逃すことはできないが親の仇を討とうというお筆姉妹の思いはわかる、そして勘当になった息子に献身する梅が枝には感謝している、だからこうして矢じりをとって射たのだと涙ながらに語り、身請けしに来たのも自分で、300両を庭に落としたのも自分である、とうちあけます。お筆も仇討の思いを納めて和解することに。梅が枝は景季の箙に「私の代わりに」と紅梅を一枝さし、景季は出陣していきます。「うなづくたびに散る梅の匂いは袖に残りける」って言う文言がステキ!この日を境に梶原の家紋を変えたんだそうですよ〜。