試聴室に行きました

昭和47年9月の「岸姫松轡鑑」飯原館の段(先日、上映会で上映したものです)と昭和58年2月の「堀川波の鼓」成山忠太夫内の段・小倉彦九郎内の段・京堀川妻敵討の段を観てきました。46才の師匠、カッコええわあ(コラコラ!)

  • 「岸姫松轡鑑」飯原館:これは・・・そんなに面白くないですね(言いきるか?)。「新薄雪」は面白いのに人形さんの人数のせいで最近かからないんだろうな〜と思いましたが、こちらはあんまり面白くないから、なのでは。ひと夜のちぎりで片袖を、というのは最近巡業で観た気がしますし、にせの首を差し出すというのもよくある話で、他と違うテイストと言えば、朝比奈の企みで親が「兄と妹がちぎってしまった」と誤解してしまう、というあたりでしょうか。でも小さい頃に離れてしまった兄妹がそうとは知らずに恋仲になってしまっても仕方ないと思うんですけど・・・おそよを連れてくる百姓の与茂作は優しいじっちゃまで好感が持てます。この人形を遣ってらした辰五郎さんという方がまたやさしそうな面立ちでぴったりでした。明治39年に文楽に入られた方のようです。
  • 堀川波の鼓」:始まりが謡なんです(嶋さんでした)。面白い始まり方だなあって思っていたら鼓の稽古をしているという設定があるからでした。ちょっとおかしくなってる姉を妹が心配するという設定なので能「松風」が題材のひとつなのかもしれません。”夫が単身赴任中で寂しくて酒びたり”の奥さんが息子の鼓の師匠の帯をいきなり解いて押し倒す話なんですが(情緒のない書き方だなあ^^;)、おさゐといいこのお種といい、浄瑠璃の作者が男性であることを考えると、当時の世の男性には「夫が近くにいなくて欲求不満気味な人妻」に「帯をとかれたい願望」があったんでしょうかね・・・。お種とお藤の姉妹を四世清十郎さんと簑助さんが遣っておられます。妹の方はしっかり者なんです。最初のころに彼女が姉に「おつとめは大変なのよ、姉さんには無理でしょうね」という風に言うところが「姉の方はだらしないのかな?」っていう感じの伏線になってます。妻敵討が男2人女2人〜〜夫と息子(養子みたいです)とお藤と夫の妹〜〜で京へ仇討ちに、というのも面白いんですが、ここのところの浄瑠璃がとっても面白いです。通りすがる人の会話が辻占みたいな感じになっていて縁起をかつぐんですが、床本が手元にないので今度コピーしてきて読みたいと思います。


公演記録勘鑑賞会の水色の二つ折のチラシに師匠の奴妻平の写真がっ!

国立劇場の試聴室には師匠のご出演の録画が少ないのです。もう未見のものはほとんどなくて、既に観たものを繰り返し観たりしています。個人のお宅に眠っているものが捨てられてしまう前に、寄付をつのってはどうかと常々思っているのですが…。