闘う三味線

最近、地上波でも放送されたことで知名度上がったみたいですが、正直なところ、この題がイヤです。確かに闘っておられると思います。でもそれは清治さんだけじゃありません。他の三味線さんも、いえ、三味線さんだけじゃなくて太夫さんも人形さんも闘ってるはずだと思います、他でもない自分自身と。
でも2人の登場人物をピックアップして「闘う」って題するのってどうなんでしょうね?清治さんも住さんもご自分と闘っておられます。大きなものと闘っておられる。芸に終わりはないという姿勢で日々前に向かうことしか考えておられない。それなのにこうした図式で「闘う」と題されてしまうとなんだか小さな話になってしまう気がします。
それにどなたも自問自答を繰り返して苦しみながら闘っておられるのだけれど、それが表に出る人と出ない人がいると思うのです。文楽をご存知ない方がこれを観て「この人だけが闘う人なんだ」って思ってほしくありません。だからなんか、この番組の題がイヤなのです。内容は好きなんですが。