海女

一度しか拝見していないし、何しろ後半のタコの出現で海女の存在が消しとんでしまうのではっきり書くことができなかったのですが、実は「なんか薄いなあ」と思っていたのです。なかなか思うようにならない恋に身もだえしている若い娘なのに随分さっぱりしてない?と。
直後に大先輩の「関寺小町」が控えているので、あまり色気を出しすぎて空気を濁したくないのかなあ、などと思いもしました。蕾のような娘だからこそ、タコがHなことをしてもイヤらしくならなくていいのかな、とか。でも、あれこれ考えて最終的に行き着いたのは、あそこが「いかにも暑い夏」だと全体の流れにあわないからかも、ということでした。
春はめでたく、秋は寂しく、それはその通りに作ってあります。でもこの「四季寿」は冬も思ったより寒くないんですよね。勘十郎さんの鷺娘は華やぎがあってしんしんと冷えてくる感じではないんです。だから夏もか〜っと燃える夏ではなくて何となく涼しい海辺で、爽やかな娘が「こんなに好きなのにぃ!」って言ってる程度でちょうどいいのかな、と思いました。
そんな可愛い娘時代、大昔なので忘れてしまってますが(笑)。