パブロフの犬

わたしは涙もろい。はっきりいってゆるゆる。若い頃から「水戸黄門で泣ける君はすごい」と言われてきた(苦笑)。困るのは頭が犬並みらしくて条件反射でも泣いてしまうこと。「あ、まずい、この先泣かせどころがある」と思うと「泣くまい」「今日は泣かんぞ」と気合を入れるのだが徒労に終わる。だから泣かせどころで私が泣かなかったらよほどヘボなのだと思っていい。
能の話だが、少し前に「大原御幸」のい〜いところで絶句されて、100%泣くところで涙が引っ込んでしまったことがある。そういうことがあると条件反射より生まれつきの反射の方が勝つわけね。
「菅原伝授」の「寺子屋」でもぼろぼろ流れる涙に参ったけれど、この前の「伊賀越」の「岡崎」はもうどうしていいかわからなくてハンカチで顔を覆ってしまった。これから出会う作品にいったいいくつこういうのがあるのだろうか。条件反射の「条件」がどんどん増えていくのが怖くもあり楽しみでもあり。