感想をひとつだけ

清之助さんの重の井はこれと言って難なく、いつも通り美しいお人形でした。でもそれは想定内だったので「うんうん」という感じで観ていたのでした。このくらい朝飯前だべ、と(笑)。いや、もちろん私なんぞが想像できないくらいのご苦労をなさってるとは思いますが、師匠や先輩の足・左を遣っているうちに身体が覚えているはずですし。
それよりも周りをよくご覧になっているな〜と強く感じました。お若い方も入り混じっての舞台、それをそつなくまとめていかなくては、という思いが伝わってくるようで、ひとやま越える度にほっとした顔をなさる。初役のお人形を遣うのだけでも大変でしょうに、舞台全体を懐に抱えているようで。どちらかと言うと私はそっちの方に「ほほう」って感動したのでした。清之助さんのお人柄ゆえなのか、全体に温かみのある舞台だったと思います。