輪郭

月曜にまた観るので<「鑑賞教室」、感想はその後に書くことにします。人形も床も全体をひっくるめて受け止めていたのであまり絞って見られなかったのです。月曜には人形にしぼって観ます。
昨日、何気なく「輪郭がはっきりしていて」と書きましたが、私はこのことに能狂言でも結構こだわっているのです。輪郭がはっきりしている=ぼやけて散漫な印象がない=動きにブレがなく無駄な動きがない=型がきれいに出来ていて細かいところまで神経が行き届いている・・・というようなことなんですが。
たとえば「染分手綱」に踊り子が2人出てきて若い人形遣いさんが遣っていらしたのですが、2人が全然タイプが違いました。はっきり申し上げてお2人ともまだまだだと思いますが、おひとりは動きの流れは滞らないのだけれどピリっとしていなくて、もうひと方はぶつぶつと動きが切れてしまうのだけれど一瞬の形がきれい、という具合でした。パっと見た目は先の方が器用にこなしていてきれいなんですけど、私がどちらが好きかと言えば後の方なんですね。稽古を重ねたらきっと型のきれいな人形遣いさんになると思います。←多分に好みの問題でありますのでお許しください。
先日国立能楽堂で拝見した「江口」のシテ・塩津哲生さんはまさに、輪郭がはっきりしていて無駄な装飾がなくて”そぎ落としていく芸”という感じなのです。山本東次郎家狂言もそうです。能でも狂言でも、名人と言われる人は余計なものを舞台に持ち込みません。初めはただ懸命に積み上げていって、ある程度のところへ来たらそこから無駄を削いでいく、見かけの装飾に頼らない潔い芸が好きなんですね、私。雑音のあるのはダメです。
ちなみに、書くまでもないですが、清之助さんのお人形が好きなのはまさにそこ故です。なんともすっきりしてきれいで、無駄なものや余計な装飾が何もなくて、お人形の美しさを素地のまま最大限に引き出していらっしゃると思います。