周りの空気の動き

能や狂言で、役者さんが出てくるときや大事な場面で動くときに周りの空気の動き方が人によって違う。もちろんある程度お上手な方限定だけれど。

ひとつは「空気を押してくる人」で、能で言えば火のようなおシテさん。もうひとつは「空気を切り裂いて進む人」。これは本当に進む方向の数m先の空気を船の舳先のようにスーっと切るのがわかる。どちらもすごいのだけど、私が最もすごいと思うのは「空気を動かさない人」。周りの空気と一体になっていて、空気を押しのけたり切ったりしないのにその人の出す波動だけがダイレクトに伝わってくる。

文楽は役者さんがお人形なのでどうなのだろう?これから舞台をたくさん観て、そういうことも感じられるようになれたらいいのだけど。