咲さんの天神森

公開時、文楽ファンの間で話題になっていた「最後の忠臣蔵」のレンタルが始まったので早速借りてきて観ました。言いたいことが明確に伝わってくる素直な映画でした。文楽座のどなたが出ているか知らずにいましたが、さすがに太夫さんはすぐにわかりますね。エンドロールを見たら三味線は宗助さん。勘十郎さんは徳さま?ですよね?

咲さんの曽根崎、それも天神森って聴いたことあったかなぁなんて思いながら観ていて、気になったので文化デジタルライブラリを見てみました。やはり私が観始めてからは記録がありません。想像通り圧倒的に時代物が多く、心中ものでは天網島が何度かあります。曽根崎は生玉社前を何度か・・・それでも平成11年と14年に天神森のお初をおつとめでした!ほほぉ。


(注意:映画のネタバレあり)人形浄瑠璃で心中の場面が何度も登場するので、この親子ほど年の離れた2人がまさか、心中?というすっきりしない思いで観ていました。だってほら、お初徳兵衛と違ってこの人たちは武家だから、忠臣蔵のように武家の生き様を美しいとする物語でそれはNGでしょ。でも心中するとしたら「宵庚申」みたいになるのかしら?なんて思ったり。
それを男は義を貫いて女の面影を心に抱いて腹を切り(義と心中したと言ってもいい)、女は他の男に嫁ぐことでそれまでの自分を殺して生き直す、やはり義に生きる、という具合に落としてる、なかなか見事だと思いました。「寝る」よりずっと色っぽい関係、すぐ寝てしまう安易な関係では到底太刀打できないもの、をきれいに描いてました。好きですね、こういうの。