一つ蓮

「小宰相身投」を聴いていたら出てきました>「ひとつはちす」。討ち死にした夫通盛の後を追って入水する話で、彼女は「どうか亡き人とひとつはちすの上に」と祈って命を絶ちます。死後に愛する人と同じ蓮の花の上に生まれ変わることを祈る、そう思わねば生きることも死ぬこともできなかった時代の物語です。こういうものを礎にした謡や浄瑠璃を「聴いてもわけわかんない」という風になっていくのはさびしいことだなあ、と思います。