視聴室

平成7年12月の鑑賞教室「傾城恋飛脚」Aプロと、平成4年の「一谷嫩軍記・熊谷桜&熊谷陣屋」を観てきました。
午前中は「恋飛脚」。12年前とは言え、鑑賞教室のくせに梅川が簑助さん、忠兵衛が文昇さん、孫右衛門が玉男さんという布陣、ぢつに豪華でした。特に最後、孫右衛門が一人になって2人を気遣いつつ傘をさして一人立っている姿は言葉にできないさびさびとした存在感があって秀逸でした。この立ち姿だけで泣けます。ご存命中に拝見できなかったのがしみじみ残念です。床は呂勢さん、呂大夫さん、十九さんと美声揃い。全体にきれいな仕上がりでした。
さて午後は「熊谷陣屋」。「恋飛脚」で世話物もなかなかいいじゃないの、と思ったものの、観始めたらやっぱり私は時代もの好きでした(笑)。熊谷桜は出遣いじゃないんですが、梶原平次景高が出てきた瞬間「玉也さんっぽい」と。熊谷陣屋で出遣いになってきたらやっぱり玉也さんでした!この持ち味は前々からのものなのですね〜。直実は玉男さん。大きい!型がきれい!人形の厚みが抜群!玉女さん、がんばってこれを目指しましょう!徳兵衛とか治兵衛とか、辛気臭い男はやらなくていいです。直実のような大きくて澄みきっていて男気のある役こそ、玉女さんが本領発揮できる役だと思います(力説!)。こういう役でなら師匠を超えることもできるような気がします。女に入れ上げて人の金を盗むとか、妻子がありながら遊女に手を出すとか、そんな役は他の人にさせませう!


しばらく時間がとれそうもなくて、次回は11月の半ば過ぎまで行かれません。しばらくは文楽旱ですね〜。