レクチャーレポ(長文^^;)

嬉しそうに竜をあやつる(?)あやしいおばはん→
早めに着いたのでお堀のあたりをうろうろ歩いて伝統芸能情報館に到着するも、まだ集合時間まで30分以上ある・・・と思っているうちに数人の方と一緒に英大夫さんが入ってこられました。どーしょ〜、どーしょ〜と思っていたら中に知った顔が!ほっとして話しかけたら、英さんの方から「レクチャーにご参加?」と聞いてくださってほっとしました。「はい」と答えると「懇親会に出られます?」と・・・平身低頭「す、すみません、レクチャーだけなんです」。英さん、優しい〜、懇親会に出たかったかも〜。
場所が本館2階の稽古室で、皆でぞろぞろと移動。4時〜5時半の予定でしたが、ちょっと遅れて開始となりました。三業で30分ずつかと思っていたのですが、約一名、喋りだしたら止まらない技芸員さんがいらっしゃいまして(笑)、最初の人形の解説がやたら長かったです。


★人形さん★
勘緑さんも手伝ってくださって2人でツメ人形を遣って殺陣を見せてくれたのが面白かったです。ご自分が立ち役の係で、敵役の4人分を勘緑さんに「はい右、次は左」と言ってやらせるという人使いの荒さ!(笑)でも普段から仲がいいというお2人、息があってました。ツメ人形がクルンと回ってひっくり返るのは片手だけで返すんですよ〜、すごい!勘緑さんは清之助さんが話している間、そ知らぬ顔でずっとツメ人形を持ってちょこちょこと動かしていらっしゃいました。手をパタパタしたり首の後ろをかいたり、その動きが可愛くて私はついついそちらばかり見ておりました。
その後、皆さん思い思いに人形や道具を持たせてもらいました。私は剣が化けた竜を持ってみたかったのでぶんぶん回して遊んできました。
以下、メモをそのまま載せます。話を夢中になって聴くとメモを忘れてしまうトリ頭なので、いらした方はコメントで補足してくださいませ。

  • イジワル官女のかしらは立ち役のかしらを使う。(「鎌倉三代記」のおらち、「瓜子姫とあまんじゃく」のあまんじゃくなども同じ)
  • ツメ人形は手がないので、自分の手をそのまま出して遣う。
  • 男のツメ人形で捕り手などが着ているのは花四天という衣裳。長襦袢型で裾が割れている。(このツメ人形で殺陣をやってくださった)
  • 胴串の持ち方は人によって違うので、胴の部分は使う人の癖がついている。蓑助師匠などは人差し指が伸びて胴の外に出ているときもあるそうだが、文雀師匠は「ワシは普通に握っとる」のだそう。
  • 「妹背山」で使う苧環は何故あんなにクルクル回るか。◇←この四角の角の一つだけに重りがついているのでその遠心力で最初に回してしまえばクルクルと景気よく回るらしい。なお、電動式のものもあり。接続が悪いと感電すると言っていたが、あれはたぶん、この前の「葦の浦々で足の裏を見せた」というのと同じで「ネタ」に違いない。
  • 主遣いの乗る下駄。乗って動くのは難しいのだが、足遣いを経験して前傾での動きに慣れることで上手になるのだそう。
  • 傾城のかしらはとても重い。阿古屋琴責で琴を弾くときは前かがみになってささえきれないので、足遣いが片手を帯のところまで上げて主遣いの左手を支えている。

余談。胴の部分を回して見せてくださったのですがそれは清十郎師匠のもので、師匠には布を親指で挟んで遣う癖があったので一部黒ずんでいる、とのこと。回ってきたときにその部分を握って「ししょ〜」と一人感慨に耽りました(笑)。見事な筆跡で「清十郎 昭和五十七年五月吉日」とあって「この胴、うちの長男が生まれた頃に出来たんだ」とまた感動しました。生きてる師匠に会いたかったなあ。。。


★三味線さん★
人形の解説が大幅に食い込んでしまって「時間がない」とぼやく喜一朗さん。(既に喜一朗さんが解説を始めている横で「忘れてた」と言って被きの説明してました^^;)でも皆さんが人形で遊んでいるときに、後ろでずっと道行の手を弾いていらしたのを私はちゃんと聴いていましたよ〜。

  • 道行の始まりは二上がりで派手に。
  • 役柄に分かれたとき、橘姫は姫らしく柔らかく、音と音とが繋がるように弾き、お三輪のような町娘は元気よく弾く。
  • 三人で踊るところは三下がり。華やかなだけでなく、悲劇へと続いていくことを暗示。
  • 金殿の段では特殊な「一上がりの三下がり」になる。
  • 入鹿の首が飛ぶところは変わった手なのでよく聴いて、とのこと。

と言う具合に喜一朗さんの解説はこれから3部を観るという人にとてもためになるお話でした。三味線って初心者にとっては一番難しいんですよね。私も「これはきちんとメモっていって次のときの参考に」と思いましたが、何人かいらした”文楽が初めて”という人もわかりやすくてよかったのではないでしょうか。


★大夫さん★
大夫さんの時間もちょっと食い込み気味で「いやあ、○△◇くんは喋りだしたら止まらなくて、時間がないと言うわりによく喋る」「でも今日はまだ遠慮してたほうですわ」と仰るので皆でどっと笑ってしまいました。(でもそこが可愛いんですから許してあげてください)
最初に立って呼吸法の練習。手を前に伸ばしながら息を吐ききりますが、この「吐ききる」というのが結構難しいんです。その後全員で傾城阿波の鳴門の名文句「ととさんの名は十郎兵衛、かかさんはお弓ともうします」を発声。これは簡単なのでよかったですが、その後「千本桜」(だったと思う)の一文を。難しくてまいりました。英さんが「ワインバーにでも行ってこれを読んだらカッコイイ」と仰るので「ほんまかいな」と大笑い。
最後に「曽根崎心中」の大阪弁・現代版というのを2ヶ所ほど読んでくださったが、これがとてもわかりやすくて「これをCDで出してくれたらストーリーがわかって若い人もとっつきやすいのでは?」と思いました。九平次がセカンドバッグを持っていたかどうかはナゾですが。。。
最後に皆でクジを引いてお土産をいただく。私はペケだったみたいでちょっと残念。懇親会に出席される人にお店の場所を、と言いつつ紙を配る英さん、また「懇親会にいらっしゃいます?」と聞かれて「いえ、まいりません」と・・・いや〜ん、何度も聞かないでくださいよう(大汗)。友だちとの約束がなければ3部も観たかったし懇親会も行きかったです。今度は行こうっと。