CD「酒屋の段」

住大夫さんの「酒屋の段」のCDを聴いていた。平成4年の録音だそうだが、なんと語りでなく三味線で泣いてしまった。胸の真ん中あたりをぐいぐい押されるようで。誰だろうとケースを見たら鶴澤燕三とある。先代の燕三さんだ。
今の住大夫さんは錦糸さんと組んでいて、お若い錦糸さんは住大夫さんの語りを最高に引き立たせるように弾かれていると思うが、このCDの三味線は大夫とは別に語っている。そして、この前聴いた「現燕三さん」の音にそっくりだ。いや違う、現燕三さんが師匠に似ているのだ。
ふと、もしかして私はこういう鬩ぎあうような、凌ぎを削るような組み合わせの方が好きかもしれないと思った。